生分解性エポキシ樹脂の開発

エポキシ樹脂は、その堅牢さや優れた硬化性などから電子材料・塗料・コーティング・接着などに広く用いられる他、ヘルスケア用品や飲料缶等にも用いられている。しかし、堅牢さが故に環境に残存しやすいこと、エポキシの毒性(変異原性・皮膚感作性など)は大きな問題となっている。

この解決に向けたエポキシとして、グリシド酸エステルに着目し、エポキシ硬化系の開発と硬化物の機能探索を行っている。グリシド酸エステルは、汎用ビニルモノマーであるアクリレートの酸化で容易に得られることから、原料の多様性に優れる。


アミン類による硬化
グリシド酸エステルのアミン類による硬化は、汎用エポキシであるグリシジルエーテルを用いる硬化よりも速く進行する。結果的に、接着力が出るまでの時間が短い。また、硬化物は酵素、酸、塩基などで分解可能である。

B. Ochiai, K. Soegawa Polymers 2022, 14, 957
B. Ochiai, Y. Nakazawa, Y. Matsumura, T. Kawai Polymer Journal 2024, 56, 409-417.

酸無水物による硬化
酸無水物による硬化もグリシジルエーテル類と同様に進行し、硬化物が得られる。機械・熱・接着特性はいずれも同等だが、グリシド酸エステル硬化物のみ堆肥中での生分解が起きる。

B. Ochiai, M. Yashima, K. Soegawa, Y. Matsumura ACS Macro Lett. 2023, 12, 54.

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